憧れのあのソファは。

「人をダメにするソファっちいうんはあるか？」と、家具屋の店員に俺は声を掛けた。ド田舎から上京した俺が一番欲しいもの。それは人をダメにするソファ。店員は何故か一瞬驚いたような顔をしたが「お待ちください。」と言って店の奥へと引っ込んだ。暫くすると、店員は大きなソファを持ってきた。その姿はまさにネットで見たあのソファで俺は興奮した。しかも値段は二千円！安！俺は即決でソファを持ち帰った。
だが、喜んだのも束の間、家で使ってみてすぐに問題が起きた。ソファの使い心地は満足。色も都会っぽくシックな感じにした俺の部屋に合う。なのに…座ると背中から尻にかけてキラキラした粉がびっしりと付くのだ。ソファに座ってから外出して、周りに笑われたのもこれが原因だった。こんな不良品を売りやがって。俺は買った店舗に苦情を入れる。激高しながら方言で捲し立てる俺に店員は言った。
「え？人をラメにするソファって言いましたよね？」