カラスの医者

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腹痛で病院に行ったら、診察室にカラスが座っていた。いつもの先生が忌引きを取ったため、急遽、カラスにお願いしたという。
「カラスは賢いですから大丈夫ですよ」
受付のおばさんはそう言うが、とても信用できない。
カラスは人語を解するようで、ぼくの説明にうんうんと頷くと、検査結果に目を通して何か考え始めた。くちばしでパソコンのキーボードを叩く。
「単なる食中毒ですね」
カラスが喋った。ぼくは驚いて腰を抜かしそうになった。
「おそらく、古くて傷んだ食品を口にしたのでしょう。夏場は特に注意しないといけません。生ごみを漁るのは、午前中に限ります」
やっぱりカラスだ。ぼくは笑った。
「人間は生ごみを漁りませんから」
「じゃあ、生ごみよりもっと悪いものを食べたということです。これからは新鮮な生ごみを食べてください」
ぼくはぐうの音も出なかった。
SF
公開:22/07/06 17:40
更新:22/07/11 08:17

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