メリーさん

家で夕食を作っているとスマホに通知が来た。
『私、メリーさん。今、駅前にいるの』
それを見て焦る。だが相手は尚もメッセージを送り続ける。
『私、メリーさん。今、スーパーの前にいるの』
『私、メリーさん。今、家の前にいるの』
予想以上に動きが早い。こちらが確認するより早くにメッセージが届く。
『私、メリーさん。今、貴方の後ろにいるの』
その通知を確認するや、私の首に長い女性の腕が回される。
「疲れた～お腹空いた～ご飯まだ～」
メリーさんが私の背中に体重をかけ、ごはんの催促を始めた。
手洗い・うがいはしたの？と聞こうとしたら『私、メリーさん。今、洗面所にいるの』という通知が少し前に来ていた事に気付く。
それならばとメリーさんの口に出来立ての唐揚げをあ～んする。ハフハフと美味しそうに食べる音と吐息が耳にかかってくすぐったい。
今日も私の妻、メリーさんは恐ろしいくらい可愛い。