下ごしらえ

「安枝さん、来月の最初の月曜日、テニスコート取れました」
「やったわね、由美ちゃん。じゃあハンバーグを作る準備しておかなくちゃ」
「うちはチキンライスです。肉団子も作っちゃいます」
「楽しみねー」
「楽しみですね」

翌月始めの月曜日、安枝と由美はテニスコートにいた。
安枝の手には特注のラケット。由美の傍らには山と積まれたボール。
「では、安枝さん！いきます」
「こいっ」
由美が投げたボールを安枝が打ち返す。

かと思いきや、ボールがバラバラになった。
「由美ちゃん、ナイスコントロール」
見ると安枝の足元には巨大なタッパが置いてある。みじん切りになったボールはそのタッパの中に落ちていた。
「次いきます」
「はいっ」

「これがラストでーす」
最後のボールが投げられ、二人のゲームは終わった。
「今月も沢山できましたね、玉葱のみじん切り」
「ハンバーグいくつ作れるかしら」

「また来月も、ね」