ネクストバッターズサークル

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「まただ。」
炎天下の中。管楽器の演奏と黄色い応援が混ざりあい、渦を巻いていた。私はネクストバッターズサークルに片膝をついて座っていた。バッターボックスには小学校高学年の時から一緒に切磋琢磨してきたアイツがいた。
実は私はこの場面を何度も繰り返していた。いつもこの甲子園への切符をかけた決勝戦の最後のバッター、アイツのバットが空を切って終わる。そう、いつも泣き崩れるアイツに触れた瞬間に戻されるのだ。
しかしどうすれば時間が進んでくれるのだろうか。前回なんか三振したあいつの頭をバットでフルスイングしたりした。そんな衝撃的なことをしても戻ってきた。クソ、どうしたらいいんだ。

繰り返す。ベンチにいる俺に出来るのは勝つまで時間を繰り返させるだけだった。何度も繰り返しても、勝てないのか。だが面白いものをみた。僕は勝ちよりネクストバッターズサークルのあの人が次なにするか気になっていた。
青春
公開:22/07/04 18:06

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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