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いつも現実から覚めると、僕は白い雪の中で目を覚ます。
あたりは殺伐とした雑木林で、寒いのか暑いのかもよく分からないまま、僕はいつもそこにいる。
そして僕が横たわっているすぐそばで、今日もまた大きな雄鹿が死んでいる。ハエが集っているわけでもなければ、脈を取ったわけでもない。だが、彼は死んでいる。
目立った外傷はない。異様にお腹が膨らんでいるなどでもない。
ただ雑木林から押し寄せてくる、感染症のような呪いのような空気は明らかに殺意を向けてくる。
その気配は少しまでまでは微かにしか感じなかったが、今となっては僕の肌にも触れそうな勢いだ。
早くここから動きたいのに、逃げ出したいのに、不思議と僕の心は穏やかだった。
雄鹿の表情を汲み取ることは出来ないが、少なくとも抵抗した振りはない。
ああ、この幻想的な場所も、雪に埋もれてしまう。
酷い金属音が頭に響いた瞬間、僕は目を閉じた。
さあ、悪夢の始まりだ。
ファンタジー
公開:22/07/01 22:41

シルフィード( 蝶々が多いところ )

でも虫さんとは、あんまり仲良くないです

画像:トロロ様、ななメーカーより(https://picrew.me/image_maker/41329

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