赤い糸

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「すいません、赤い糸を下さい。」
そこはおばあさんが一人で営む駄菓子屋だった。
「あぁ、あんたもかい。」
おばあさんは慣れた手付きで手近の引き出しから真っ赤な赤い糸を取り出した。
「それで、長さはどれくらい欲しいんだい?」
僕は肩幅位まで両手を広げた。おばあさんは同じ位の長さに糸をパチンと切った。
「はい、この位ね。それで、あんたはその糸を何に使うんだい?」
僕は軽く赤面して口を開かなかった。
「あんたもだんまりかい。まぁいいさ。ついでに駄菓子も買ってきなよ。」
僕は赤い糸を貰った手前断れなかったから一番安い駄菓子を2つ買って逃げるように駄菓子屋を出た。
さて、あとはこの赤い糸を好きなあの娘に結びつけるだけだ。
噂によると赤い糸を好きな娘にくくると結婚出来るらしい。さっそく、公園であの娘を見つける。僕は呆然とした。
それはあの娘の腕にはすでに何本かの赤い糸がくくりつけられていたからだ。
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公開:22/07/03 10:20

リマウチ

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