おまじない

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また目があった。
今は古典の授業の途中。隣の席にいる女の子と目があった。この授業中だけでもう三回は目を合わせている。
けれど、自身の恋心を隠すように僕はすぐ目を伏せてしまう。
「情けないなぁ...。」
僕はいつも彼女を眺めることしかできていなかった。挨拶することも、宿題の範囲を聞くことでさえ小心者の僕には難しかった。
だから、僕は藁にもすがるように恋のおまじないに手を出した。
「あとは爪先で地面を三回ついて、30秒目をつぶれば。」
こうすれば彼女が自分に興味を持ってくれるらしい。目をつぶっている間は心臓の音を聞いていた。
そして、30秒がたった。
「なにを寝ておる。」
恋のおまじないの先にあったのは古典の先生の鬼の形相であった。
結局そのあと怒られ授業は終わった。僕はへこんでいた。
「恋のおまじないしてたでしょ。」
休み時間、彼女のいたずら気な笑みを含めた質問に僕は赤面するしかなかった。
青春
公開:22/07/02 21:27

リマウチ

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