スタンプカード

吾輩は猫である。そして飼い主と相思相愛である。
吾輩は運が良い。１度目の生で早速良い人間の飼い猫になれた。吾輩、魂ある限りずっとこの人間の飼い猫でいよう。
猫は産まれながらにスタンプカードを持つ。九つの魂を持っている猫は九回、生まれ直す事が出来る。その時、カードにスタンプが押されるのだ。
猫の一生を１０年とすれば魂ある限り飼い主とずっと一緒に居られる。吾輩は幸せだ。
だが不幸は突然やってくる。飼い主が死んだ。吾輩を残して死んだ。
それからの猫生は何もかも空虚だった。空虚のまま吾輩も飼い主の後を追うように死んだ。

死後の世界。神がスタンプカードを吾輩に見せる。
そうだ！これで飼い主を生まれ直させよう！吾輩は神にカードを手渡し、願った。
「君達は本当に相思相愛だね」
そう言って神が見せてくれたのは飼い主が別室で「あの子を生まれ直させてやって下さい」とスタンプカードを手に願っている姿だった。