手続き

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ピンポンパンポン

『番号札、8436番のお客様は、1番カウンターまでお越しください』

手元の札に書かれている番号は、呼ばれた番号とは掛け離れていて、僕は何度目かわからない溜息が出た。
「長いですね」
隣に座った女性が、困ったように笑いながらそう話し掛けてきた。本当に、と返すと、彼女も順番がまだのようでそのまま話して時間を潰す。

ー希望は?
ー無難なところ。それなりに収入があって、生活に困らない所なら…
ー人間関係も良いと尚よし

他愛の無い話で盛り上がっていると、『8577番のお客様はー…』と自動音声が流れる。女性が番号札を見て、「あっ」と声をあげた。
「すみません、私行きますね」
「はい。お気を付けて」
受付に向かった彼女と受付担当の声を聞きながら、僕も自分の番号が呼ばれるのを待つ。

「大変お待たせ致しました。えー『新生児転生希望』のお客様ですね。転生先の希望等はございますか?」
ファンタジー
公開:22/06/29 09:42

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