僕が師匠に弟子入りした理由

僕が師匠に弟子入りした理由？師匠の手品が見事だったからさ。トリックが全然分からないんだ。

「そりゃそうだ。私のは魔法だからね」
１０年前、師匠の言葉に僕は納得した。魔法だったらトリックも見破れないわけだ。トリックがないんだから。
「その通り！いつまでもトリックを探している奴は最も簡単な答えに気付けないでいる」
最も簡単な答えって？
「魔法の存在さ。トリックを見破ろうとしている連中は魔法という概念が頭から抜けている。人間の脳は面白い構造になっていてね。見たくないものを脳が認識しないように出来ている」
成程。僕にしか見えていないアレも皆の脳が見たくないものとして認識しているから見えていないんだ。
「そう言う事♪おばけなんてないさ♪と謳って無脳を押し付けてくる」
僕も貴方みたいになれるかな？
「勿論。君になら私の全てを教えてあげよう。当然、手品ではなくマジック…文字通りの魔法を教えてあげるよ」