迷宮少女

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「あなたもこの世界に迷い込んでしまったの?」

その少女は、右目が赤。左目が青色のオッドアイの少女だった。

「ここは……?」
「さあ。私にも分からないわ。私も迷っているの。どこかに出口はないかしら」

その不思議な雰囲気を漂わせる少女は、出られないというのに随分と落ち着いている。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

歩いていく彼女の後を慌てて僕も追いかける。

「君はここにどれくらいいるの?」
「さあ。時間の感覚はないわ。もうどれくらいいるのかしら。一日かしら。それとも一年かしら」
「それにしては、落ち着いてるね」
「取り乱したら出られるの?」
「いや、そういう訳じゃないけど……」
「君、名前は?」
「さあ。忘れたわ」
「じゃあ君は迷宮少女ってわけだ」
「面白い呼び名ね。気に入ったわ」

僕は、この不思議な世界を歩き続ける。いつか出口が見つかると信じて、この迷宮少女と一緒に歩き続ける。
公開:22/07/01 16:05

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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