されど10円

2
2

真夏の太陽が照りつけている。その日はリゾート開発の視察で地方までトンボ帰りで出張だ。それにしても暑い。電車に乗る前に自販機が目に付いた。
『たまには小銭を使うか』
【水 110円】、、財布には220円。
「よし」
110円取り出すと一緒に10円が飛び出た。 「あっ!!」
自販機の下にすっかり入ってしまった。
『まぁ、仕方ないな、、、』
10円は諦めた。
クレジットカードも電子マナーもあるし、まぁ困る事はない。
喉を潤し電車で2時間。
『田舎だなぁ』
何も無い。とりあえず開発予定地へ着いた。
「暑い、、」
『とりあえず水でも買うか』
自販機を見上げた。
『、、、110円、、、あっ、、、』
見捨てた10円玉が懐かしい。
10円玉を見捨てた自分が憎らしい。

あれから10円玉を見捨てない。
会社の同僚が10円の釣りを「いいいい、やるよ。」と言った。
10円は募金した。
愛おしい10円だから。
ミステリー・推理
公開:22/06/27 13:55
更新:22/06/29 09:55
#後悔 #学び #感謝

ぽんた!

『何か新たしい事をしてみたい!』と考えた時、昔よく詩を書いていた事を思い出しました。
小説は初めてですが挑戦してみよう!!と思います。
読んで頂けたら嬉しいです。
誰かの気持ちに寄り添えるような、そんな小説が書けたら良いなと思います。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容