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「またか」
「ええ」
仕方なく、金を渡す。
「また来たんですか」
家で妻が不機嫌そうにいう。
「彼がいないと仕事が回らないんだよ」
「あら、死体処理なら、できるわよ」
妻の意外な返答に驚いたが、後日妻に死体処理を頼むと、完璧にしてくれた。
「非の打ち所がないよ」
「殺し屋の妻ですもの。これくらいできて当然だわ」
「ありがたい。これで私もだいぶ楽になる」
その日は二人で笑い合った。
そして
「またか」
「ええ、なんどもすみません」
「今回で最後だ。代わりが見つかった。もうお前に死体処理は頼まない」
「はい。それに気づいてもらうまでが、頼まれた仕事でして……」
男はそういって、帰っていった。
男の依頼人は、息子だった。
「なんでパパにいってくれなかったんだ」
「だって、偽札が上手く使えるかわからなかったから……」
その日から、我が家はうんと金持ちになった。
やはり、若い感性には敵わないな。
公開:22/06/26 13:03

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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