物足りた味
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「物足りた味」という調味料を買った。かければ、何でも美味しく食べられます、と書いてあった。期待はしていなかったが、海外旅行に持っていった。俺はとてつもない偏食家なのだ。
しかし、あの調味料は本物だった。どんなに辛い料理も、脂っこい料理も、味の薄い料理も、俺の好みを知っているかのように味が変化した。俺は旅を続けた。
日本に帰ってきた。毎日が辛かった昔と違って、仕事は上手くいくし、楽しいと思えるようになった。前の彼女とは、手料理に俺が文句をつけすぎて別れてしまったが、新しく彼女もできた。彼女の料理のみならず、今はなぜか、あの調味料がなくてもなんでも食べられる。こう言うと彼女は笑った。
それって、人生が満足の行く、物足りたものになったからじゃない?もうあなたにその調味料は必要ないよ、と。
なるほど。俺の心はいつの間にか、ご馳走をたくさん食べた時のような満腹感と幸せに満たされていた。
しかし、あの調味料は本物だった。どんなに辛い料理も、脂っこい料理も、味の薄い料理も、俺の好みを知っているかのように味が変化した。俺は旅を続けた。
日本に帰ってきた。毎日が辛かった昔と違って、仕事は上手くいくし、楽しいと思えるようになった。前の彼女とは、手料理に俺が文句をつけすぎて別れてしまったが、新しく彼女もできた。彼女の料理のみならず、今はなぜか、あの調味料がなくてもなんでも食べられる。こう言うと彼女は笑った。
それって、人生が満足の行く、物足りたものになったからじゃない?もうあなたにその調味料は必要ないよ、と。
なるほど。俺の心はいつの間にか、ご馳走をたくさん食べた時のような満腹感と幸せに満たされていた。
ファンタジー
公開:22/06/28 17:50
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