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長くて厚い無垢のカウンター。その上に、丸くて白いお皿が5枚、等間隔に並んでいる。それぞれのお皿にはレタスの葉が数枚ずつのっていて、それを見てたら、昔、「きみはレタスみたい。」と言われたことを思い出した。あれはどんなレタスだったんだろう。淡い緑、濃い緑、それとも縮んだ赤紫色?すっ、すっ、すっ…、カウンター越しの店主が、お皿のレタスにリズムよく何かを置きながら、右から左へと移動した。小さくて四角いのが、葉っぱの上でキラキラと光っている。あ、氷か。色水を吸ったスポイトのようにじわじわと、氷の色は透明から緑にかわり、レタスはじわじわと色を失い、透明になった。
「どうぞ。」
店主は、氷を素手でつかむと、おもむろにこちらに差しだした。優し気に目を細めた店主の手の平で、氷が解け始めている。
「はやく。」
私は意を決して差し出された氷を手に取り、食べた。ガリガリ、ボリボリ。耳がキンと、高原の香りがした。
公開:22/06/28 09:40

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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