新月を照らす

2
3

有明の月を見ると、おじいちゃんがまだ生きていた頃を思い出す。

〜私が5歳になったばかりの頃。おじいちゃんが病気になり入院した。
お見舞いに行った時も夜空に、新月の直前の有明の月が見えていた。
「私は有明の月が好きだ。ちょうど今日も有明の月だ。私の人生と月を重ね合わせることがよくあるんだ。有明の月はもうすぐ新月となる。なのに月はこわがらず一生懸命に光り続ける。私はもうすぐいなくなる。新月になる。私もいなくなる直前まで光り続けたい。照らし続ける存在でありたい。
君は人生の三日月といったところだろう。満月になれるように頑張れ。でも欠け始めたって光り続けるんだ。だれかを照らし続ける存在であり続けるんだ。最後の最後まで。
新月になっても月は月であり続ける。私もそうだ。」〜

今は私がおじいちゃんを照らす。おじいちゃんがまた誰かを照らせるようになるまで。これが私にとって最高の月であるように。
その他
公開:22/06/27 20:09

小6男子ひさと

小6男子のひさとです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容