ツヨシ

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私の家の隣には、高齢の女性が住んでいる。
一人暮らしをしているので、私も何かと気にかけている。
今日も様子見を兼ねて、世間話。
「ツヨシのこと、話したことはあったかしら?」
初めて聞く名前。
「聞いたことないね。」
「そう!うちのね、自慢の息子なのよ!」
意気揚々と語るおばあちゃん。
幾つになっても息子は、母にとって大事な存在なのだろう。

「ツヨシとはね、ずっと一緒に過ごしてたの。数年前に亡くなってしまったのだけど。」
早くに息子さんを亡くしてしまったのか。
どれだけツラかったことだろう。
「お買い物にも一緒に行ってくれたし、毎日お散歩にも付き合ってくれたわ。」
ずいぶんと親孝行な息子さんだったんだ。
確かに自慢の息子だと言い切れる。
「真夏の暑い時なんか、ハーハーしながら舌を出してたから可哀想だったけどね。」
…舌を出しながら?
「あの、息子さんって…」
「可愛い可愛いビーグル犬よ。」
その他
公開:22/06/23 22:43

トモ

小説を書くことにチャレンジしてみようと思い、登録しました!まだまだ不慣れですが、少しずつ書いていきたいと思います。

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