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記憶の中に囚われたまま、私はかすかな光を求めて手を伸ばす。

いつの日の頃からだろう。陽だまりの色は、私達の美しい透き通った町を照らす。

君を連れ出して町を出て、氷の結晶を洞窟の中に見に行った帰り、私達は町の方からの異変に気付いた。

――町が燃えている。

火事?
……いや、それにしては規模が違いすぎる。町全体が燃えている。

私は家族の安否を確かめる為に、慌てて戻ろうとした。しかし彼は、私の手を掴んだ。

「ダメだ。危険すぎる。あの炎の中に行くなんて無茶だ」

それでも私は――
私は彼の手を振り切り、炎に包まれる町の中へと入っていった。

そして自分の家が全焼しているのを目の当たりにして、その場に泣き崩れた。その時だった。焼けた家の屋根が、私に向かって真っすぐ落ちてきた。

「危ない!!」

そう言って彼が私を突き飛ばした。
そして彼は……

燃える屋根の下敷きになってしまった。
公開:22/06/23 08:31
更新:22/06/23 09:24

富本アキユ(元Akiyu)( 日本 )

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