アリクイの話

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アリクイは不満だった。
おれたちはアリを食べると思われている。しかし、アリだけでなうシロアリも食べる。アリは蟻だが、シロアリはゴキブリの仲間だ。
だからゴキブリクイといっても過言ではない。
アリクイたちは自らのアピールするために、商店街を練り歩いた。そして、目についた飲食店に入ると、頼み込んだ。
「ゴキブリ駆除ならお任せアリクイ」
「隅々まで綺麗に舐めとりアリクイ」
アリクイなだけに、語尾がアリクイになるのはご愛敬だ。
飲食店たちは困った。
「ゴキブリはいなくっても、アリクイの唾液で店内がベトベトになるのではないか」
「アリクイがきたら、ゴキブリだらけの店を誤解されてしまう」
断られても、アリクイたちは食い下がった。なにしろ食いぶちにかかわっている。都会でアリを探すのは大変だ。ゴキブリ駆除は食料の確保とともに稼ぎにもなる。
こうして、アリクイたちは、今日も繁華街を練り歩いている。
SF
公開:22/06/26 11:03

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