釣り紳士

6
2

堤防で釣りをしていると、現れたのはイギリス製の車だった。そこから降りてきたのは、まさにジェントルマンと呼ぶにふさわしい格好をした品のある老紳士だった。老紳士は車のトランクを開けて釣り道具を出した。
おいおい、そんな綺麗な恰好で釣りする気か?
釣りは汚れるからジャージとかみたいな汚れても大丈夫な服でする方がいいのに、そのままの恰好で釣りをし始めた。一方、俺の方は獲物がかからない。たまに小さな魚が釣れるだけだ。その時、横を見ると老紳士の竿に大きな当たりが来た。老紳士は、サッと竿を立てて魚を手繰り寄せ、タモで掬い上げた。見事な大きさのタイだ。
おお、いいな。羨ましい。そう思ったら老紳士が話しかけてきた。

「良かったらこれ、食べてくれませんか?」
「えっ?いいんですか?」
「はい。もう満足です」

老紳士はニコリと笑いながら
「またお会いしましょう」
そう言い残してスッと帰っていった。
公開:22/06/21 07:05

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容