上目遣い

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男なんて簡単に騙される。私の上目遣いに騙されない男なんていないんだから。
「お願い。重いから運んで」
私は可愛くお願いした。男は快く引き受けてくれて、荷物を運んでくれた。
男にお願いするコツは、上目遣いだ。上目遣いで見つめると、男というのはコロッと騙される。男というのは、とても単純な生き物だ。
ある日の事だった。私はいつものように男に上目遣いでお願いした。
「お願い。飲み物買って来て。疲れちゃって」
しかし男は無視した。何よ。私のお願い聞いてくれないの?
相手が悪かったのね。そう思い、別の男の人に声をかけた。しかしまた無視された。
「どうして私の事を無視するの。ねえ!!」
そう言って男の腕に触れようとするとスルッとすり抜けた。
私はようやく自分の置かれている状況を理解した。

ああ、そっか……。
私、いつの間にか死んでたんだ。
無視されたんじゃなくて私の事、見えてなかったんだ。
公開:22/06/21 07:01

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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