赤吉の12

「今日のヒーローは2点目のシュートを決めたアツキ選手です！」
ようやく今シーズン初得点を決めることができた。チームも完勝で後半戦に向けて良いきっかけとなる試合になった。先日の試合では前半に先制したが、後半早々にラフプレーで退場してしまった。その後は防戦一方となり同点シュートを決められてしまった。自分のせいで勝ち点２を失った。責任を感じていた。スタジアムの近くに住んでいたアツキは小学生の頃から両親に連れられスタジアムに足を運んだ。そしてユースチームに入ったのだが、トップチームには昇格できず大学に進学した。その後、大学での活躍が認められ、昨年念願であったトップチームに加入することができた。初シーズンから出場の機会を得ていたが、今年は同じポジションの選手が加入してきて勝負の２年目だった。
「よし、これからだ！」
場内を一周してサポーターに挨拶をする。視線の先には未来のアツキ少年が手を振っている。