剪定

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庭の山法師の新芽が伸び過ぎ、垣根越しに道路の方へ飛び出している。これは通る人にも迷惑だし、剪定鋏で切ることにしよう。
折角伸びてきたのに、可愛そうかなと思いつつ、ゴメンねと言いながらチョキチョキと切っていく。その内に面白くなり、あちこちと切り過ぎて、坊主頭の木になった。
これはやり過ぎた、ゴメンねゴメンねと謝ってみたが。
切った枝や葉っぱを、ゴミ袋に拾いながらその多さに、改めて悪かったと幹を撫でながら一礼をする。
でもついでだと他の木もチョキチョキと、もう袋も一杯だ。
その時「オッサンもういい加減にしろよ、面白半分に切ってるのとちゃうか」と後ろから聞こえた。振り向けば紅葉と躑躅が怒って、枝をバタバタさせている。
これはまずいと作業を打ち切り、剪定鋏にも油をさしてご苦労さんと仕舞った。すると片隅から「止めるんかい、俺の頭が軒に当たり痛いんじゃと」竹が文句を言っている。ああややっこし!
ファンタジー
公開:22/06/16 14:41

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