じゃあ、またね…

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梅雨の合間の午後、いつものように僕はコーヒーを飲みながらベランダで一服をした
すると、桜並木の向こう側にある白い一軒家から、その家の娘さんが出てきた。若い男の人も一緒だった

ふたりは、二言三言ことばを交わすと、開閉式の柵越しに「じゃあね」という風に、お互いの顔を重ねて軽くキスをした。意図せず、僕は見てしまっていた

男の人は、2、3歩ほど歩き始めて振り返り、ゆっくり手を挙げた
娘さんは何か声をかけながら右手を振ると、左の手で柵を全て閉じた。カチャリと金具の音だけが聞こえた

その後、男の人は何処へ行ったのか分からない。濃い緑色の葉が生い茂る桜の樹々に隠されてしまったからだ。娘さんは、玄関の扉を開け、家の中へ入った

僕は再び煙草を吸う。メンソールのスーッとした爽やかな息が喉の奥まで伝わる
煙を吐くと、その紫煙は曖昧な鈍色をした曇り空へと浮かび、いつの間にか、そよ風に広がって消えていった…
青春
公開:22/06/16 13:35
更新:22/06/17 02:30

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
どうぞ宜しく…。
ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。

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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

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