たぶらか歯

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そばに置いておく存在には拘りがある。それは俺を磨いてくれる、俺の魅力を引き出してくれるプロデューサーのような存在が良い。俺は常日頃、外でそんな存在を見つけては家に連れ込む。彼女達は大事なコレクションだ。
だが、もう一年を共にした彼女は役に立たない。最初の頃は素晴らしいプロデューサーで頼りにしていた。しかし今では毛はボサボサで体も汚れていてみすぼらしい。目障りなだけだ。…別れよう。俺は新しい彼女を探しに旅に出た。
最初に見つけたのは雑貨屋にいた、雰囲気の柔らかい子。ソフトな印象で俺を傷つけずに磨いてくれそうだ。連れて帰る。次はスーパーにいた、普通な感じの子。普通だが身なりはしっかりしており素朴な感じが落ち着く。連れて帰る。最後は歯科医院にいた、お堅い子。真面目で細部にも拘る所が頼もしい。君もおいで。

俺は彼女達を壁に磔にする。
やわらかい、ふつう、かたい。
俺の大事な歯ブラシコレクション。
その他
公開:22/06/16 13:14

板里カエ( 静岡 )

いたりかえです。空想と創造の毎日です。

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