ヴァンパイア・ブライド

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旧友の吸血鬼が結婚するらしい。
大学で一番仲が良かったということもあり、僕は背広をクリーニングに出し、「御出席」の欄にマルをつけた。
彼の故郷は欧州の方だと聞いたのに、会場は日本らしい。彼は日本が好きだと何度も言っていたが、それほどまで好きだとは思いもよらなかった。
会場に着いて間もないうちに披露宴は始まり、暫く見ないうちに随分男前になった新郎の吸血鬼と、色白で随分とドレスが似合う新婦の吸血鬼が腕を組んで歩いてきた。羨ましくないと言ったら嘘になる。
披露宴は滞りなく終了し、帰りの電車に乗り込んだのだが、気になるのは彼が日本で挙式した理由である。本人に聞く時間が取れなかったので、うんうんと一人で考えていると、どうやら一駅乗り過ごしてしまったようだ。折角なので一駅歩くかと思い、暗闇を歩いていると、そこには教会があった。
頂点には十字架が堂々と立っていた。
彼は僕が思うより聡明な吸血鬼だ。
SF
公開:22/06/19 17:50
ヴァンパイア

中多陸( 愛媛県 )

愛媛県民です。
月に一本程度書きます。

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