断捨輪

自分の部屋の足の踏み場の無さに呆れ、断捨離を決意する。
何から手を付ければよいか。仕方ないので、攻略ポイントを決めた。
まずは、押し入れの攻略にかかった。色んなモノが出てきた。壊れた布団乾燥機、いつか使うだろうと束ねてある針金ハンガー、よくわからない大きな焼酎の瓶、髪の毛がボサボサのマネキン人形の頭だけ・・・。
(いらないモノばっかりだな。何でこんなのとって置いたんだろう。)
その当時は必要と思っていたんだろうなんて考えていると、奥の方に銀と金の車輪だけが1つずつあるのに気が付いた。
(何の車輪だろう？)
押し入れからこの車輪を取り出してみると、突然眩い光が降り注ぎ、激しい蒸気まで部屋中を満たしSL機関車が窓から飛び立って行ってしまった。
何事かと我に返る頃には部屋の蒸気は消え、見違えるほど整理整頓された空間を目の当たりにした。
(もしかして、あれが噂の“断捨輪”だったのか。)