優しい雨

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雨の日は気分が滅入る。雨が嫌いだ。梅雨の時期は憂鬱になる。いつも君が私をデートに誘うのは、なぜか雨の日だった。私が雨嫌いなのを知っていて、君は私を誘ってくる。どうしてなの?と理由を聞いてみれば、君はこう答えた。

「雨は君が不機嫌になる。だからデートの難易度があがる。そっちの方が同じデートをするのでも面白いと思ってね」
「まるでゲーム感覚ね。変わった楽しみ方」

だがそんな事を言う彼には、秘密があった。彼は太陽の下を歩けない特殊な病にかかっていた。本当はそんな理由があった。私がそれを知ったのは、彼と別れる時だった。
彼はいつも優しかった。彼と別れた原因は、彼の病状が悪化したから。彼が私を振る時も、彼は優しい振り方をした。だって病気の事を正直に言ってくれたのだから。

「君が悪いわけじゃない。僕の病が悪いんだ」

彼と過ごせる雨が好きになった。
その雨は、私を包み込んでくれる優しい雨だった。
公開:22/06/18 10:24

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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