霊界汽車

6
3

目が覚めると汽車の中にいた。私はどうして汽車に乗っているのか。どこへ行こうとしているのか。分からないまま、汽車に揺られながら窓の外を見ていた。窓の外から見えるのは、田舎の風景。手掛かりを探そう。私はどこの誰で何の為に汽車に乗っているのか。持ち物を見るが何も持っていない。が、ポケットの中に女性が写った一枚の写真が入っていた。財布すら持たず、写真を持って汽車に乗り、私は一体何をしているんだ?
そんな不安を感じながらもしばらく汽車は走り、ついに止まった。降りた先の看板には<霊界>と書かれていた。霊界。つまり私は死んで、これはあの世へ行く為の移動手段だったのか。妙に納得した私は、再び手に持っていた写真を見る。

「きっとあなたは私の大切な人なのだろう。だがあなたに会う事は叶わないようだ」

独り言を呟き、写真をポケットに入れた。

「やっと会えました」
目の前には写真の女性が迎えに来てくれていた。
公開:22/06/15 09:43

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容