勝手自転車

荷物になる買い物があり、自転車に乗って出掛けた。上り坂は立ち上がり一生懸命ペダルを踏み込み漕いでいた。
暫らくし平坦な道に戻ると、疲れてペダルに足を置いたままだったのに、勝手に動いているのに気がついた。
ハンドルを操作しているだけで進んでいる。でも電動アシスト式でもないのに、何故に漕がないのに動くのだろう。

念の為ブレーキを掛けて止まり、降りてじっくり観察したがバッテリー等は勿論無い。
数年前に近所の自転車屋さんで購入したいたって普通の自転車だ。
どこかの駐輪場で取り違えた物でもない、後ろにはペンキが薄くはなっているが自分の名前が描いてある。

突然「オッサンがしんどそうにしてるから、代わりに走ってあげたよ」と聞こえた。何と耳を澄ませば自転車が喋っている。
申し訳ないお礼をしなければと言うと、「だったら帰ったら、タイヤに空気を入れて、ギヤーには油を差してね」と言った。ハイ、承知しました！