綾釣人魚

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“座長どの、この度は、やんごとなき代物を河岸(かし)にて仕入れましてね”

“卸屋め、如何な用か”

“布哇に棲む人魚の耳でございます。なにぶん、人の姿に憧れまして。その両の耳を削ぎ落とし、ペテン業のしがない男と懇ろになった果てには、道行きに。お後は聞かぬ方がよろしいかと”

“ほう。それは妙なる咄。その怪しき代物とやらを観せて貰おうじゃないか”

“へえ。お代は観てからで結構。やんごとなき女の鰓は、この雲母の小箱に納めてございます。但し、覗いても『あっ』と声を上げてはなりませぬ”
ミステリー・推理
公開:22/06/10 08:15

沙羅( 仙台 )

ご交流・ご指南、本当に有り難うございました。ベンチタイム⚾を置いてから古巣に戻るつもりです【予定】 

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