覗き穴

テストで穴埋め問題が出ると私はほくそ笑む。寝たふりをして、問題用紙の穴をじ～っと見つめる。
…見えてきた見えてきた。ふむふむ…ここの答えはAか。次の答えは…
問題用紙の穴を覗き込み、次々と回答を導き出していく。穴埋め問題は私にとって答えを覗き見る事の出来る覗き穴だ。それに気付いた時からテストは楽勝になった。
だが今日のテストは違っていた。穴の向こうではまるで温泉みたく湯気が立ち昇っている。
答えは？答えはどこだ！？血眼になって探すも結局見つからず、テストは終了時間を迎えた。

テスト終了後、皆が私を見て笑う。何だろう？と思い、鏡で見てみると目の周りに黒い丸が描かれていた。
何だこれ！？と焦っていると先生が私を見てニヤリと笑う。
「君、覗き穴を使ってズルしようとしたね」
ドキッとする。もしやこれは私のような違反者を見つける為のトラップだったのか！
「君の判定は下心出し過ぎの”H”で決定だよ」