朝ごはん

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朝はどうしても食欲が出ない。起きてすぐ食べるのは、胃が受け付けない。

「朝ごはんは?」
「いらない。いってきます」

俺は母さんが作ってくれた朝ごはんを食べずに家を出て学校へ行く。

「もうちゃんと朝ご飯食べないと元気でないよ」

ある日突然、母さんが倒れた。過労によるものだった。入院する母さんの元に行くと、母さんは言った。

「朝ごはんちゃんと食べてるの?」
「食べて……ない」
「もう。元気が出ないから食べなさいっていつも言ってるでしょ」

母さんは、自分がこんな状態になっているのに、いつも俺の心配をしてくれる。俺はせめて母さんの作った朝ごはんをきちんと食べるようにしようと思った。母さんが退院した日、俺はいつもより一時間早く起きた。一時間早く起きて運動していた。母さんの作った朝ごはんを美味しく食べれるように。

「この味噌汁、凄く美味しい」

その味噌汁の味は、とても愛に溢れていた。
公開:22/06/12 10:34
更新:22/06/12 11:25

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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