ちっちゃい彼女

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小さく甲高い声が聞こえた。
眠くなる午後一番の授業中。
その声は、斜め前の女子生徒の肩の上からだった。
ちっちゃくなった彼女がしゃべっていた。
『午後いちで、ハゲの授業だる』
耳を疑った。
彼女は、学年一の美人で、秀才。人柄も良く、みんなに好かれている生徒だからだ。
そんな彼女が、ハゲって。
『早く次の授業にならないかな。高橋先生に会いたい!』

次の授業が始まり、先生が入って来ると、ちっちゃい彼女の声が明らかに甘くなった。
『あー、カッコいい! もう、ずっと数学で良い!』
「ぷっ」
思わず、笑ってしまった。
彼女も含め、周りの席の生徒が、僕を見る。
やべ。恥ずかしくなって、咳払いをして誤魔化した。
ギャップがすげぇ。さっきまで、ハゲって言ってたのに。
今は、キャピキャピしている。

可愛いと思ってしまった僕は、彼女とちっちゃい彼女から目が離せなくなってしまった。
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公開:22/06/11 23:49

むーさく( 北海道 )

初めまして!むーさくです(^^)
黄色と緑と黒が好き!秋と冬が好き!
私らしい作品を模索中です!
絵本や、児童文学の優しい世界観が好き!

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