カエルの引っ越し

9
3

「クワッ、クワッ」

カエルの合唱が聞こえる。子どもの頃に住んでいた家の周りは田んぼだらけだった。梅雨の時期になると様々な種類のカエルが大合唱を始める。僕はカエルが苦手だ。見た目そのものが気持ち悪いじゃないか。今度、理科の授業でカエルの解剖をすることになって、各自カエルを1匹捕まえることが宿題になっていた。

「どうした?元気ないな」
「カエル1匹捕まえる宿題があるんだ」
「そうか。じゃ一緒に捕まえにいくか」
「ありがとう!」

週末、携帯ラジオと赤ペンを握っていた親父は虫取り網に持ち替えて、田んぼに向かった。

「どうせなら、でかい奴を捕まえよう」
「え~、やだよう」
「解剖するなら、でかい方がいいだろう」
「それはそうだけどさ…」

あの頃に居た、カエルやドジョウやザリガニたちはどこへ行ってしまったのだろうか?隣の田んぼへと引っ越しを繰り返して、今でも元気に暮らしているだろうか?
その他
公開:22/06/07 22:07

ひろいてん

面白そうなので参加してみました。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容