バラと万年筆

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薔薇の香りがしたかと思うと、机の上に猫が乗ってきた。今日も餌を貰いに来たようだ。
用意しておいた餌を食べ終えると猫は去って行く。
あの猫は一体どこから来ているのだろう?近所の人に聞いても誰も知らないと話す。
あの猫は必ず野茨のトンネルを潜ってやってくる。もしかしたらあの先は猫の国へと繋がっているのでは?なんて妄想を膨らませては今月分の小説を書き上げる。
あの猫のおかげで私は小説家として食べていけている。

開け放たれた窓からインクの匂いがする。今日もご相伴に与かるとしよう。
机の上に乗ると人間は万年筆と呼ばれるものを置いた。私の爪より鋭いそれは紙に黒い引っかき傷をつける。
人間はそれで食っていけるのだから羨ましい生き物だ。
以前、私もマネしようと紙を引っ搔いたところ怒られてしまった。あの爪でないと駄目なようだ。
私はあの爪を自分のものにする為、野茨を越えると木の上から今日も人間を観察する。
公開:22/06/07 20:43

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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