バラと万年筆

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散歩中、河原で不思議なものを見つけた。
石だ。石が不自然に積み上がっている。これは一体何だ?
「ロックバランシングですよ」
それを作ったと思わしき青年が言った。
聞いた事がある。日本では石花と呼ばれるものだったか。
言われてみれば、これは花のように見えてくる。石で作ったバラに思えてくる。
間近で見るとその感動は凄いとしか言いようがない。
「いえ、これ自体はそんなに凄い事ではないです。バランス感覚さえつかめば誰にだって出来る事ですよ」
誰にだって、か…簡単に言ってくれるが不器用な私ではとても無理そうだ。

家に帰った私は万年筆を手に原稿用紙を叩く。
私が今、バランスを取らなければいけないのはこの小説だ。
そろそろ布石を回収していこうと思っているのだが石の積み重ねが非常に難しい。上手く積み上げられたらきっと素晴らしいものになるんだが上手くいかない。
…さっきの青年にアドバイスでも貰ってくるか。
公開:22/06/08 20:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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