ループするアナゴ

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「これなあに?」
「アナゴって言うんだ。甘いタレをかけて食べると美味しいぞ」
子どもの頃、生魚が苦手だった。回転寿司に行っても「タマゴ」「カッパ」「おいなりさん」ばかり食べていた。アナゴを見ると魚ではないようだ。甘いタレがかかっているなら食べられるかもしれない。勇気を出して食べてみた。
「お、おいしい」
「だろう」
親父は得意気だった。これはもしかしてマグロも食べれるのではないかと思った。
「う、うまい」
「とうとうマグロも食べるようになったか」
つまり生魚が苦手ではなく、単なる食べず嫌いだったのだ。なんと今までもったいないことをしてきたことか。

「このまえ、オオトロ、たべたんだ」
息子は先日義理の母と回転しない寿司屋に行ってきたらしい。息子の舌が肥えてしまって困ったものだ。皿を取ると息子の前に差し出した。
「これなあに?」
「アナゴって言うんだ。甘いタレをかけて食べると美味しいぞ」
その他
公開:22/06/04 22:00

ひろいてん

面白そうなので参加してみました。

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