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窓を開けると、外は雨。
梅雨はしとしと長く降り続いたものだったが、最近の雨は激しい。
庭の紫陽花が撓むように揺れて、大きな花房が重たそうだった。
ふと目を凝らして見ると、紫陽花の横に佇む人がいる。
青紫の無地の着物に、白い帯。帯には赤紫の鮮やかな、紫陽花の見事な刺繍。
髪はふんわりと結い上げて、頬にかかる後れ毛がしっとり濡れていた。
「庇のかげにお入りなさい」
そう声をかけてみるが、聞こえたのかいないのか。少し悲しそうにうつむいているだけだった。
私は傘を貸そうと、急いで庭に出てみたけれど、紫陽花の横には誰もいなかった。
いつの間にか雨は上がっていて、明るくなった空には、鳥のさえずりが聞こえていた。
(窓を開けると…… 09)
梅雨はしとしと長く降り続いたものだったが、最近の雨は激しい。
庭の紫陽花が撓むように揺れて、大きな花房が重たそうだった。
ふと目を凝らして見ると、紫陽花の横に佇む人がいる。
青紫の無地の着物に、白い帯。帯には赤紫の鮮やかな、紫陽花の見事な刺繍。
髪はふんわりと結い上げて、頬にかかる後れ毛がしっとり濡れていた。
「庇のかげにお入りなさい」
そう声をかけてみるが、聞こえたのかいないのか。少し悲しそうにうつむいているだけだった。
私は傘を貸そうと、急いで庭に出てみたけれど、紫陽花の横には誰もいなかった。
いつの間にか雨は上がっていて、明るくなった空には、鳥のさえずりが聞こえていた。
(窓を開けると…… 09)
ファンタジー
公開:22/06/04 20:57
更新:22/06/06 16:40
更新:22/06/06 16:40
あさこです。よろしくお願いします。
ショートショートは初めてのチャレンジ。 短い文でまとめるのは難しい、試行錯誤中です。
カクヨムでも小説を書いています。https://kakuyomu.jp/users/kukiha
Twitter:https://twitter.com/mirurufara
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