バラと万年筆

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入院中はやる事がなくてとても暇だ。
何か面白い事ないかなぁ…と思っていると看護師さんがお菓子をくれた。
お菓子の名前は琥珀糖。宝石みたいにキラキラして食べるのがもったいない。いつまでも眺めていられる。
バラの形をした琥珀糖を口に放り込む。花開く甘さをしっかり味わう。
お菓子を食べて感動したのは初めてだ。この感動を看護師さんに伝えたい!
でもただ伝えるのは味気ない…そうだ!前に万年筆を貰っていたんだ!これで手紙を書こう!
と、思ったが初めて使った万年筆は上手くインクが出ずに文字が書けない。力加減を間違えるとインクがドバっと出してしまう。
だが丁度良くインクが出た文字はとても美しく、書いた私が見惚れてしまう。
だからこそ、じっくり時間をかけて丁寧な手紙を書くよう意識する。
そうして気が付いた時には私の退院の日がやって来ていた。
過ぎてみればあっという間の入院生活だったが、退屈はしなかった。
公開:22/06/04 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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