バラと万年筆

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茨の道だ。誰もやりたがらない、誰も通ろうとしない道だからこそ、そこに活路があると考えた。
僕は茨の道をひたすら歩く。途方もない旅で、途轍もない事だ。道を切り開くのに無傷ではいられない。
そうして僕は行き着いた。ついに目的を達成し、僕の研究と功績は世界から称えられるはずだった。
僕の歩んできた道を追ってくる者がいるはずだった。茨の道は花道へと姿を変えるはずだった。
「傷つく道なんてあっていいわけがない。君は間違っている」
突然現れたその人は僕を糾弾する。頭ごなしに否定され、目の前が真っ暗になった。

私は彼を始末した後、彼の轍を回収する。彼の研究は素晴らしいものだ。称賛に値する。
だが同時に私の仕事の邪魔となる。それに気付かれると困るのだよ。
彼の轍は万年筆にでも変えてやろう。失敗者の恥と未来まで語り継ぎ、誰もこの茨の道を切り開かないよう言い聞かせていこう。同じ轍を踏ませてはならぬようにと。
公開:22/06/04 20:47
研究者 圧力 バッドエンド

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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