ファッションデザイナー

「ここが会場か」
線と数字が並んだA3用紙を睨みながら呟く。
「床全面に真っ赤なカーペットを敷こう」
「照明はピンクとブルーをベースに」

周りの取り巻きは真剣な表情でメモをとる。
男は思慮しながらも饒舌に語る。

「お客さんをたくさん呼んで、喝采をもらうんだ」

少し距離をとりながら、トランシーバーをもった黒服たちがぼそぼそと連絡をとっている。

下見がスムーズにいくためだ。

「音楽はロックだ。ステージ中央にベッド置いて、助産師には踊ってもらう。」

男の想像はどこまでも果てしない。
「これで完璧だ。最高の出産になる！」

「ぜったい嫌よ！！」