ふわり

ふわり、雪が溶けだしたら春が来る。
桜が散れば雨が降る。

あなたに会えば心温まる。
優しい時間がずっと続きますように。

「とっても良いじゃないですか。これでいきましょう。売れますよ、これは」

私の小説を担当してくれる編集さんは、力強く答えた。私は小説家だ。この作品を書いたのには、理由がある。

「実はこの作品、モデルがいるんです」
「ほう、そうなんですか」
「……まあ私なんですけどね」
「そうでしたか。先生、素敵な恋をしてるんですね」
「いえ、相手は別れた元カレです。もう終わった恋なんですよ」
「そうでしたか。いやはや……でも先生にこんな素敵な物語を書かせてくれた彼には、私も感謝していますよ」
「本当に覚えてない？」
「えっ？」
「中学の時、あなたと付き合ってた後藤だよ」
「ええー！？桜坂先生って君だったの！？ペンネームだから気付かなかった」

ふわり、また君と運命の再会をした。