夏のもこもこスリッパ

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夏。日照りが強く、蝉の声もうるさくて、すべてが暑く感じてくる帰宅中。
私は、暑さで苛立ちと疲労がピークに達していた。

自宅のドアを開けて玄関に入ると、苛立ちは爆発してしまう。
それは、玄関に用意されていた、スリッパのせいだった。
いつも使っていたスリッパとは、別のスリッパに変わっていたのであった。

夏用の涼しげなスリッパや、夏らしい絵柄が入ったスリッパに変えたんなら、私も爆発はしない。
でも、用意されていたスリッパはもこもこのスリッパ。
見た目は、明らかに冬用のスリッパだった。
思わず、そのスリッパを蹴り飛ばしかけた瞬間、まるで雪道を歩いているかのような涼しさが、もこもこのスリッパから伝わってきた。

涼しさに癒されていたら、お母さんがやってきてスリッパの感想とか聞かれていたが、どうでもよくなるほど、私はこのもこもこのスリッパに度はまりしていた。
公開:22/06/01 21:20

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