バラと万年筆

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その昔、万年筆をインク瓶ではなく酒瓶へとつけて文字を書く事が流行った時代があった。
酔っ払いの悪ふざけだ。
それなのに「こうすれば人を酔わせる文を書ける!」なんて噂が広まったもんだから皆が真似をした。
他にも酒で契約書を書くと相手が条件を飲む、酒で書いた文を大量に読むと吐き気に襲われる等、酒ならではの与太話が飛び交った。当然、全て嘘である。
だからブームはすぐに去った。
だが、ある者だけは愛用の万年筆を酒瓶に浸し、本を書き続けた。
すると不思議な事が起こった。万年筆がバラみたく赤く染まったんだ。
ふらふらと千鳥足の文字列は読めたもんじゃない。
しかも筆が時々吐いてしまっているから紙にはおかしな模様が数多く残されてしまった。それを修正して絵に変えた筆者は凄いと思うよ。
その本は”ヴィオニッチ手稿”と呼ばれていてね。
今も花を咲かせる話の種であり、棘のある内容にバラの如く読む者を魅了している。
ミステリー・推理
公開:22/06/01 20:19

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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