バラと万年筆

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私は形から入るタイプだ。
友達同士で手紙のやりとりが流行った時、私は万年筆を使用した。
デキる女感を出そうとしたところ力加減を悉く間違い、ペン先を折ってインクを漏らすわ手紙を突き破るわで失笑の的となった。
幸いブームはすぐに過ぎ去ったものの、万年筆は私のトラウマとなった。
次に私がハマったのは紅茶だ。紅茶を知り尽くし、茶葉を自在に操る。それが出来ればカッコイイ女だ!
とりあえず、それっぽい茶葉を買い集めてみた。アールグレイやダージリンなんて選ばない。
ベルガモット、オレンジペコ、ローズヒップ。それらを手に自慢げに紅茶を語る。
「オレンジペコって茶葉の大きさを表す等級の事で、正しくはこれセイロン茶だよ」
指摘に赤っ恥をかいた。紅茶もやめよう。
一度も淹れた事のない紅茶はいつものように祖父母にあげた。

後日、『ローズヒップを婆さんと楽しんでいます』と万年筆で書かれたお礼の手紙が私宛に届いた。
青春
公開:22/06/01 20:16

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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