近くて遠くて

あなたは遠くて近くて――。

この禁断の恋は、決して叶う事はない。どうしてこんな気持ちに気づいてしまったのか。自分でも分からない。気が付いたら、あなたの事を想っていました。この気持ちが勘違いなら良かったのに。何度も勘違いだと思いました。でも……何度考えても違うのです。これは恋なのだと気づきました。

「お兄ちゃん……。私、お兄ちゃんの事が……」

実の兄に恋をした。こんな事はあってはならない。あり得ないと何度も否定した。でもこの溢れる気持ちは、間違いなく兄弟、家族としての愛の気持ちとは違うものだった。
兄に伝える事なんて、とてもじゃないけど出来ない。絶対に否定されるに決まっている。私は誰にも相談する事も出来ず、ただひとりで苦しんでいる。

「私、お兄ちゃんが好き。私と付き合って下さい」

ついに言ってしまった。伝えてしまった。お兄ちゃんは、そっと私の頭を撫でて私の事は妹して大事だと言った。