バラと万年筆

見目麗しく、一見すると高級そうな万年筆。騙されてはいけない。これはバラクタだ。
バラクタというのはバラとガラクタを組み合わせた造語で、見た目は美しいが役に立たないものの事を言うんだ。実際、この万年筆では文字が書けない。
だが、見た目はとても美しい。だからこそ、胸にそっとさしておくと「あの人、優秀なんじゃない？」と相手を錯覚させられる。
でもガラクタだからね。それを使っているところを見せてと言われるとすぐにボロが出る。
使えない格好だけのものと分かれば、それはもう侮られるだろう。
だが、ここからがバラクタの真骨頂。バラには棘がある。バラクタにも棘がある。
この万年筆。ペンとしては使えない。だが、その内側には実は小型カメラと小型マイクが仕込まれてあるんだ。
まさか相手もこんなに堂々と盗撮と盗聴をされているとは思わないだろう。その油断が命取りとなる。
バラクタは相手に侮られてからスタートなんだ。