バラと万年筆

私は宇宙に咲く薔薇を長年研究している。
それはバラ星雲と呼ばれるものあったり、二つの渦巻銀河が重なる事で薔薇のような美しい姿を見せてくれるものであったりする。宇宙の薔薇とは美しさも規模も桁違いだ。
だからこそ魅了される。この美しさを未来永劫伝えていきたいと万年筆を振るう。
もし私に絵の才能があったとしてもこれほどまでに美しい薔薇を描く事は出来ないだろう。
だから私は文字を書く。興味を引くような文章でこの研究が万年続くようにと願いを込めて。
もしかしたら遠い未来、宇宙の薔薇を手にする者がいるかもしれない。
私はそれをお勧めしない。宇宙の薔薇にもきっと棘がある。隕石という名の棘に刺されてしまえば一溜りもない。
それに薔薇は遠くから見つめるからこそ美しいんだ。もし、薔薇の中で他の知的生命体に遭遇したらどうする？
美しさは人を狂わせる。戦争の火種になるかもしれん故、遠くで見つめる事をお勧めするよ。